櫻家・ロースカツランチも実はすごいという話

トンカツ屋さんの中には、同じロースカツ定食でも「ロースカツ定食」と、例えば「特製ロースカツ定食」など複数のバリエーションがあるお店も少なくありません。これは一体どういうことか?を、今回は考えてみたいと思います。

頻繁に更新されるわけではない本ブログですが、筆者のトンカツ愛もトンカツ欲も別段衰えたわけではありません。なかでも櫻家さんは相変わらず詣でる頻度は高目です。櫻家さんは「ロースカツ定食」のバリエーションが事の他多く、価格的頂点たる「特製ジャンボロースカツ定食2,500円」から最廉価の「ロースカツランチ850円」まで、なんと7種も存在します。その中でも筆者が訪店5回に4回は食べている「極上ロースとんかつ定食1,450円」は別格として、この「サイボクゴールデンポーク」を使う「極上シリーズ」以外の、国産豚肉を使用したメニューもまた別の味わいがあります。以前のエントリーで取り上げた「国産厚切りロースとんかつ定食」もこの系統です。

さて、久しぶりに「ロースカツランチ」を食べました。お肉の大きさ・質、供に極上シリーズからはそれなりにグレードダウンします。またソース用の別鉢が付きません。ですがそれはショボさにつながっておりません。ちょっと意地悪かなぁと思いましたが、この最廉価のロースカツをまずは塩とカラシだけで食べてみます。まずは口の中に衣と揚げた油の味わいがじわっと広がり、すぐにしっかりとしたロース肉の味が鋭角に切り込んできます。はっきり言えるのは「極上シリーズ」とは違う別個の人格とも呼ぶべき味がこの最廉価のメニューにもある、と言う事です。

塩の次は醤油で。さらに味が濃くなります。いや、もうこの段階になると濃くなるのは「体験」です。「とんかつ喰ってるぞーっ!!」という体験、実感。それが塩から醤油へ移行することでより濃くなるのです。ズシッと舌に残る味です。

ここで初めて脂身の味わいに思いが至ります。残念ながら極上シリーズと比べれば一段落ちる味ですが、前述の衣、油などのサポートもあってあまり気になりません。むしろ凡百のトンカツ専門店ならだいたいこのレベルです。脂身の質がダウンしても気にならないのは、肉の厚みにも関係があるのかもしれません。極上ロースとんかつ定食比、肉の厚みがやや薄いことで肉と脂身のバランスは良いまま保たれており、櫻家さんで食事する楽しみのひとつである「ロース肉の脂身の風味を楽しむ」ことが保障されているのは嬉しい限りです。

最後の4切れは自家製とんかつソースでいただき、その体験の濃さはもう言わずもがなです。極上シリーズにはない冷や奴の小鉢も含めて、あれよあれよと食べきってごちそうさま。このエントリーではこれまでロースカツランチを「最廉価」と表現してきましたが、あまり正しくない表現かもしれません。最廉価グレードが実は一番濃厚体験を提供するフランス車のように、櫻家のロースカツランチは極上シリーズと対を成す櫻家さんの看板メニューと勝手に認定します。まずは極上ロースとんかつ定食を、ついでぜひロースカツランチをどうぞ。その名のとおりランチタイム(11:30〜14:00)にしかありませんから、その点だけお気をつけください。

仙台市青葉区川平1丁目19-2
022-279-4889
昼 11:30〜14:00
夜 17:30〜21:00 (LO.20:30)
木曜定休