岩沼・かつ吉 良く言えば昭和テイスト

なんと相馬の銘店「かつ吉」と同名店。このブログでは岩沼・かつ吉と表記します。

■お店
とんかつの店 かつ吉
〒982-0261 宮城県岩沼市桜2-4-16
Tel : 0223-23-2090
定休 火曜日+第三水曜日
営業 (昼)11:00-14:00(夜)17:00-20:00
席数 20
website http://katsu-kichi.com

■前口上
ひょんなことからこのお店のことを聞きました。岩沼は「トンカツ銀座」と呼ばれるほど(って筆者が勝手に言ってるだけですが)トンカツ屋さんが多い。しかし筆者にとっての当たりのお店は少ない。惜しい!しかしこちらの岩沼・かつ吉、ウェブサイトを拝見するとなかなかにそそる文言が踊ります。何よりもオリジナルドメインを取得しているくらい気合いが入っています。ふむ。これは食べてみたい!ということで訪れた某日。本当に住宅地の真ん中にあります。岩沼市内に明るくない筆者は、ナビが必須でした。

■概要
対象メニュー:ロイヤルプリンス上かつ定食(多分100〜110gくらい)1,260円
盛りつけ:1枚のお皿にキャベツにカツ。ナポリタンとマカロニマヨネーズ和えが少々
キャベツ:機械調理のもよう
ソース類:トンカツソース(煎りゴマすり鉢は付いていません)、しょうゆ、ごましお。ドレッシングの類いはなし
カラシ:別容器・自由
その他:平皿のご飯と味噌汁だけの潔さ

全景



■感想
テーブル席が8席に小上がり席が12席の小体な店内。筆者よりも少し年上かな〜という感じのおばさんが店内を仕切っています。このおばさんの客あしらいが(正確には言葉遣いが)あまりよろしくない。「お決まりですか?」ではなく「もう決まった?」とか小上がりからテーブル席に途中移動を願い出た老婦人に「(すでにサーブした)お茶、自分で持ってきてね」、ランチに付く食後のコーヒーを「コーヒー、置いておきますね」などなど。うーん、文字だとあの無礼な感じが伝わらない(笑)。ともあれ常連の多い飲食店ではこういう対応が普通だったりしますので、そこに目くじらを立てるほどではありません。

カツが運ばれてきて、やっぱり目が行くのは付け合わせのナポリタンとマヨネーズで和えたマカロニ(笑)。これはアレですか?岩沼トンカツ屋さんシンジケートなる組織があって、そこで血の掟として必ずこの二品は付け合わせろ!ってことになってるんでしょうか。少なくとも真摯にお店のメニューのアップデートを試みているトンカツ屋さんでは死に絶えた付け合わせです。ま、好きな人にはたまらないのでしょうけど、筆者は特にマカロニは必要ありません。

イントロが長かったですが、トンカツそのものの評価はどうでしょうか。ロイヤルプリンスポークという銘柄は初耳ですが、店内の張り紙に拠れば宮城県産のブランドのようです。よくあるブランド豚と異なり、肉そのものが硬質で歯ごたえたっぷり。ロース肉の脂身もクセのないお味。それなりの厚みのカツそのものは高温の油で短時間であげているようで、黄金色系の仕上がりなのに口に入れると熱くて驚きます(お肉の硬さは揚げ方にも影響されると思います)。また衣の付け具合があまい個体では、お肉が直に揚げられて焦げ気味になっていました。この咬み応えのあるお肉とザクザク系衣のハーモニーは悪くありません。ソースは取りたてて特筆するものではありませんが、ごくオーソドクスなもの。キャベツにもトンカツにもたっぷりかけて食べるのが正解のようです。

別容器で供されるカラシは付けても付けても辛くない(笑)。途中で追加すれば良いだけなんですけど。ぞんざいに扱われた老婦人はごはんにごま塩をかけて食べておられました。それ、真似すればよかった!

■評価
中の上。良い意味で中庸。良く言えば昭和テイスト。余計な小鉢類が付かないのもある意味加点要素です。ただおばさんの客あしらいのぞんざいさ、そしてごはんが平皿で供されることが「上」ランク入りを阻みました。はっきり言いますが、箸で御飯を食べる場合、茶わんや丼こそが正しい食器です。なぜなら平皿に盛られた最後のご飯を箸で掬う時、お皿を持ち上げないととても苦労するからです。平皿はそもそも手に持つための食器ではありません。本来なら「中の下」ランク要素ですが、トンカツそのものにパワーを感じたので、今回は「中の上」とします。今後再訪し、別メニューを食べたらランクの変更もあり得ます。

店内にあったメニュー表をいただいてきました。
でも今回食べたメニューが載ってない…

仙台・とんかつ石松

基本的にこのブログは「私はおいしいと思うので、ぜひトンカツ好きのみなさんも食べてみてほしい」というお店を書いています。プラス思考。ランキングの上位ばかり読んでいただいて筆者の舌のレベルを知っていただくことはできると思いますが、ではこういうトンカツはちょっと…という、具体的に言えば本ログのランキングで言うところの「中の下」はどんな味なのか。現在「中の下」ランクは閉店してしまった1軒しか書かれていません。ログ発信者の舌のレベルを測る尺度のひとつとして、敢えて今回は「中の下」なお店として、以下のお店を紹介したいと思います。

■お店
とんかつ石松
〒982-0261 宮城県仙台市青葉区折立2-8-10
Tel : 022-226-2363
定休 月曜日

■前口上
実は石松へは10年以上前に訪問したことがあります。確か冬で店内がとても寒かったことしか覚えていません。ただそれ以来再訪していないということは、ネガティヴな印象を持ったのでしょう。つい最近知人から石松の名前を聞き、「そういえばカツそのものはどんな味だったんだっけ?」と興味がわき、検証のため訪問してみました。店内は骨董品が所狭しと並び、水、お茶のお代わりはセルフサービス。店内BGMは名曲のオルゴールバージョン。何もかもがカンに障ります。

■概要
対象メニュー:ロースかつ定食(150g)1,365円
盛りつけ:1枚のお皿にキャベツにカツ。特に網皿などはありません
キャベツ:機械調理のもよう
ソース類:特製トンカツソース(煎りゴマすり鉢は付いていません)。ドレッシングの類いはなし
カラシ:ビニール小袋で提供
その他:ご飯、味噌汁、漬物、冷ややっこ、ポテトサラダとトマトの小鉢

全景

カツ盛りつけの向きに注目せざるを得ません

■感想
カツが運ばれてきて真っ先に目が行ったのがカツの盛りつけ。ロース肉の脂身側がお客の手前側に来るという前代未聞の盛りつけです。加えてカラシがビニール小袋に入ったアレ。見ただけで既製品とわかるポテトサラダ。などなど、食べる前にすっかりイヤになってしまいました。

ポテトサラダの「買ってきました感」に
イヤな予感しかしません

出たー!ビニール小袋のカラシの山!
こうやってカラシを提供するお店に当たりはありません

ボトル詰めにして別売りしているという特製ソースをカツの尻尾の方(脂身が多い方)の半分にだけかけて食べ始めてみます。

細かくサイコロ切りした豆腐も入ってます

おみそ汁をすすると、具だくさんでこれまたコクがあっておいしい…。合間に漬物やポテトサラダを口に運ぶと、こりゃもう明らかに業務用の1kgいくらの袋詰めのそれ。くし切りでひとつだけ付いてくるトマトもそこらのスーパーで買えるような味。

んー。なんかチグハグだなー。さらにお店の看板にある「やわらかとんかつ」は明らかに誇大広告。だってむしろ歯ごたえバッチリ系。他にも肉質の柔らかさを売りにしているお店が多くなってきた昨今、こんな歯ごたえで「やわらか」を名乗っているお店は怒られます。

■評価
中の下。トンカツとご飯とみそ汁の三点セットだけでの評価ならランキングのもっと上位に行きそうなのですが、付け合わせなども含めたお盆の上のパッケージも、店内の雰囲気も雑然としすぎていて、1回の食事体験としてはまったく良いところがありません。もう2週間トンカツを食べてない上に空腹で死にそうだ…という場合は良いかもしれませんが、これまた難しいことにもっと安くておいしい「秀かつ」がこの石松からクルマで数分という場所にあるのです。以上、総合的判断から石松以下の味のトンカツはこのログには掲載されません、というバロメーター的な意味で今回は報告いたします。石松を愛好している人が多いことも承知していますが、読者に嘘はつけません。

トンカツシンジケートセンダイmtg#1「かつ勢」


トンカツシンジケートセンダイの最初のミーティングが「かつ勢」にて実施されました。

かつ勢は実は久しぶりですが、万人が認めざるを得ない銘店。初めてのミーティングにこれ以上ふさわしいお店があるでしょうか。いや、ありますが(笑)、メンバーの都合と立地からかつ勢が選ばれたのでした。時間通りにメンバーが集まり、お茶が供されるまでのわずかな時間でメニューは決定。ロースカツ定食1,000円と特ロースカツ+ごはん+みそしる(合計1,420円)の2種をお願いしました。かつて筆者はこのふたつを食べ比べた結果、肉質は同じものだと考え(店主に確認したわけではありません)、コストパフォーマンスに優れる「ロースカツ定食」こそがベストオブかつ勢と考えてきましたが、今回のミーティングでその考えに変化がありました。

結論から言うと、特ロースカツの方が、より良いと思うようになりました。それは衣と関係があります。かつ勢の衣はじっくり揚げた濃い茶色。粗さが実に絶妙で、細かくもなく、また必要以上に粗すぎもせず、しかも最後の一切れまで肉からはがれないという職人技を堪能できます。筆者はこの衣がトンカツの品性を決定すると思っているのですが、かつ勢に関してはもう言うこと無しどころか、ひれ伏すという言葉の方がぴったりくると思っています。そしてこのたっぷり良質のラード(ですよね?)を吸った衣と対等に肉質を味わうなら、特ロースカツの方がより良いと、今回のミーティングで思い至った次第です。普通のロースカツ定食ももちろんおいしいのですが、味わいの内訳は結果的に衣の方がやや優勢。従ってそういうタイプのトンカツが好きな人は積極的にロースカツ定食を召し上がれば良いと思います。筆者は衣と肉ががっぷり四つに組んでいるタイプのトンカツが好きなので、多少の価格差があっても、特ロースカツを選ぶでしょう。

ロースカツ定食1,000円。
恐るべきコストパフォーマンス

今回同道してくれた後藤組員の提案で、双方のトンカツをトレードしながら食べられました。このA/Bテストが無ければこのことに気付くのにはもう少し時間がかかったかもしれません。また同時に後藤組員からかつ勢のひれかつについてもレクチュアを受け、結果的にそちらも食べてみなければならなくなりました。

本ブログはどんどん更新速度が遅くなっていますが、うまい!と認定したお店でも、こんな風に探求の必要が発生するため、新規店舗開発のペースが遅くなるのです。加えて銘店は大事にしたいとも考えています。良いお店は食べることでしか支援できません。トンカツシンジケートセンダイの活動は、このブログからは見えない水面下で多忙を極めているのです。

※かつ勢の特ロースカツは単品で1,100円(2016年1月現在)。ご飯とおみそ汁がそれぞれ160円。特ロースカツでお食事の際は、ご飯とおみそ汁の注文もお忘れなく。

2016年とんかつ冒険の旅

目指すとんかつのレベルが上がれば上がるほど、このブログへのエントリーが減っていくという予想しなかったスパイラルを味わっておりますが、読者のみなさまのご機嫌はいかがでしょうか。2016年も「ただこのとんかつが食いたい!」をよろしくお願いいたします。

とんかつマニアの読者諸兄も、その年の最初に食べるとんかつは特別なものとして扱われていることと拝察いたします。不肖筆者も例外ではなく、今年も順当に櫻屋さんの極上ロースカツ定食で幕開けいたしました。実は2015年最後のとんかつ体験、すなわち「今年の締め」のとんかつで失敗してしまい、なんとしてもそのリカバリーかつ「とんかつ初め」は失敗できなかったのです。おかげで素晴らしいとんかつ初めを堪能しました。

昨年久しぶりにこのブログの読者と直接出会う機会がありました。某SNSでお友だちになってその方のとんかつログを拝読すると、実にクリーンかつツボを得たチョイスをされておられることに感銘を受けました。このブログでは、とんかつとの出会いをごく個人的な経験として扱ってまいりました。それはあたかも映画と鑑賞者の関係に似ていたと思います。つまり「私はうまいと思う」の心です。しかしマニア同士でのみ共鳴する魂、また共有すべき情報も多くあることを、その方との熱い会話で実感いたしました。

このブログの使命は「個人的価値観に基づくとんかつ専門店のカタログ化」と、「とんかつとその周辺料理の考察」だと定義しておりましたが、2016年は「共鳴者との情報共有」という意味も持たせていこうと思います。その具体策などはいまだ暗中模索ではあります。またその目的にはSNSの方が向いているという現実もあります。が、難しいことはさておき、今年もとんかつを食べまくる所存であります故、みなさまどうぞご贔屓にお願い申し上げます。

とんかつまつをフォーエバー!!

4年半ぶりに「とんかつまつを」に行ってきました。東日本大震災で入店していたビルが取り壊しになり、移転先もわからぬままだったのですが、偶然すぐ近くのビルに懐かしい文字並びの看板を見つけ、いつかは行かねば!と思い続けて幾星霜。ようやく本懐を遂げました。

新しい住所はこちらです。
〒980-0021
宮城県仙台市青葉区中央3丁目4-10 ブルービルB1F

以前のお店より少しだけ狭くなったように思いますが、カウンターの中では若旦那がきりりとお仕事をしています。入店時、たまたま自分以外にお客がいなかったので震災以来の来店であることを告げると、若旦那は筆者のことを覚えていてくださいました。あぁ嬉しい。東日本大震災以前の最後に来店した際(2011年3月)、大旦那(若旦那のお父上)が腰を悪くして調理場に長時間立つのが辛くなってきた…なんて話を聞いていたので、大旦那の具合を聞いてみました。腰以外はお元気で来春には調理場に復活するだろうとのこと。おかみさん(若旦那の母上)もやや高齢になり、膝が悪くなってきたとのこと。お大事にしていただきたいものです。

ロースかつ定食1,470円

そんな会話を楽しんでいるうちにロースかつ定食1,470円が筆者の目の前に登場。定食の汁が豚汁なのも、特製ソースの小鉢にカラシが落とされているのもまったく変わりません。逸る心を抑えつつかつをひとくち。んー。懐かしいまつをのロースかつです。衣は粗過ぎず細か過ぎず。ロース肉の厚みに寄り添うようなじゃりじゃり感。またカラシを溶き入れた特製ソースともばっちり合います。白飯も口内に追加し、ロースかつとの素晴しいタッグマッチを堪能。そのフィナーレをかっさらうかのように豚汁を注ぎ込と、これぞまつをハーモニー!キャベツにくし切りのトマト、そして実は単体でもかなりおいしい漬物も侮れません。


ボケててすみません

夢中で食べ進み、あっと言う間に平らげてしまいました。5年ぶりなのにまるで時間をワープしたように変わらぬ味でありました。

まつをは現在11:30〜15:00までの営業で、夜は予約のみの対応です。また定休は木曜日。かつカレーのカレーを仕込むのに若旦那ひとりでは一日がかりになってしまうんだそうです(大旦那とおかみさんの通院の日でもあるらしいです)。まつをのこの味を維持するためなら週休二日にされてもまったく惜しくありません。そして次回はまつを定食980円かロースかつ重1,470円のどちらを食べるべきか、今から大いに悩んでいます。