2014年、初櫻家

今年は図らずも「初とんかつ」を多賀城のとんかつ一代でキメてしまいました。私にとっての新年最初に食べるとんかつはかなり重要で、もはや「神聖なもの」と言っても過言ではありません(いや、過言か?)。本日満を持してとんかつ櫻家さんに出向き、新年の挨拶をし特上ロースカツ定食を食してきました。私にとって櫻家さんの特上ロースカツ定食は神聖なものなのです。


今日はキャベツのことを書きます。以前マンガ「美味しんぼ」で読んだ知識ですが、千切りにしたキャベツを水に晒しておくと、繊維の間に水が入ることで食感が「しゃきしゃき」したものになるのだそうです。櫻家さんのキャベツはおそらくそのような処理をしているものと推察します。何故かと言うと食べ進めるに従って、お皿に水が沁み出してくるのです。何も考えずにとんかつをそのまま食べていると、衣がこの水気に侵食されはがれ落ちることになります。

櫻家さんの唯一の欠点はここだと思っていて、最後の1〜2切れはどうしても衣がはがれて来がちです。私のようにそのことに気付いて、早々にお皿の縁にとんかつを避難させていても、です。もっともこれには油切れの問題も絡んでいるのかもしれません。サイボクハムのゴールデンポークを使っている「とんかつ石亭」でもほぼ同じ現象が見られるのです。

私は、だから櫻家さんの定食が他のとんかつ専門店よりも劣るとは考えていません。そもそも私が野菜嫌いでキャベツなんざどーでもいーと考えているという側面も無きにしもあらずですが、その前に「とんかつってここまで旨くなるモンなのか!」と気付かせてくれた櫻家さんの定食には、この水っぽいしゃきしゃきするキャベツが、もうセットで脳内にすり込まれているのです。余りにも私的な理由で大変恐縮ですが、そもそも食事の好き嫌いなど、そういうものではないでしょうか。

と言う事で、櫻家さん、今年もよろしくお願いいたします。

多賀城 とんかつ一代

■お店
とんかつ一代
〒985-0874 多賀城市八幡2-17-35
Tel : 022-367-9088
定休 木曜日

■前口上
多賀城市は本来守備範囲外ですが、以前仕事などで多賀城市内で昼食を摂ろうとして偶然入ったのがここ。実際R45沿いはラーメン屋やファストフード店ばかりで、いざ食事をしようとすると実は困ることが多いのです。多賀城圏内のとんかつ好きのオアシスとなれるお店かどうか推移を見守ってきたところに2011年3月11日の東日本大震災。とんかつ一代は1.3mの津波に店舗をやられたそうです。今は立派に復活。

■概要
対象メニュー:ロースかつ定食1,280円
盛りつけ:キャベツといっしょ盛り。
キャベツ:恐らく手作業による千切り
ソース類:特製トンカツソース(煎りゴマすり鉢は付いていません)。塩。メニューによっては醤油が供される模様。キャベツ用にフレンチとサウザンアイランド系ドレッシング
カラシ:別容器に練りカラシ。付け放題(←これ重要)
その他:ご飯、味噌汁、漬物。小鉢料理は付きません

■感想
衣はややザクザクしていますが、お肉の質感や厚みと調和しているので「ややヘビーな印象のとんかつ」として楽しめます。そして塩で食べても好印象。揚げる油にも気配りされている模様。キャベツの量がさほど多くなく、食べ始めは「?」となりますが、おそらく人間が手で調理しているが故にキャベツはザクザクとボリュームがあり、漬物と併せてトンカツそのものに質・量供とても調和しています。ご飯も普通盛りで何ら遜色なく食べきることができます(女性にはだから少し多めなのかもしれません)。このお店のロースかつ定食を食べると「バランス」という言葉に思い至ります。これはこのブログで食べて損無しと評価しているお店に共通する感想で、どこも突出していないが故に定食として破綻せず、最後まで楽しめるということなのです。おそらくとんかつという料理は、どこか粗野だったり未完成な部分がある方が良いのでしょう。洗練され過ぎたとんかつ定食なんて、魅力がありません。

■評価
上の下。衣とキャベツの組み合わせから、やや粗野な印象を感じるのも確か。価格の割に小鉢料理が付かないのも茶碗の底のキズのように気になるところです。とんかつそのものは上質ですしご飯や味噌汁も釣り合いが取れています。とは言えこのブログのランキングに照らし合わせれば本来は「中の上」。しかしなぜ「上の下」としたかと言うと、ご主人以下店員の態度がとても気持ち良いからです。奥の座敷席は厨房(実はオープンキッチン)の陰になりますが、その厨房の目の前のテーブル席の様子は、それとなくチェックされているのでしょう。入店時や退店時の店主の声がけも気持ち良い。津波で大きな被害を被ってからの華麗な復活に応援の意味も込めて上ランクとします。多賀城近辺で腹が減ってももう安心。